第20回革新的ウイルス対策技術分野叡智共有化プラットフォーム「牛白血病ワクチン開発の最前線」を開催

日時 2017年3月27日 
 本学が研究拠点を務める「革新的ウイルス対策技術分野叡智共有化プラットフォーム」は、3月27日、わが国の重要な畜産産業を動物ウイルスから守るためのシンポジウム「牛白血病ワクチン開発の最前線」を京都大学ウイルス・再生医科学研究所(京都市左京区)で開催しました。
畜産の現場では、さまざまな動物ウイルスによって経済的・社会的な損失が発生しており、世界的に大きな問題となっています。また自然界においても動物、植物が失われることが多く、自然・環境問題ともなっています。これらの状況を打開するため、さまざまな動物ウイルス感染から大切な家畜などを守る早期診断法や感染防止の薬剤などの研究開発が強く求められています。
  今回のプラットフォームは、力を入れて取り組んでいる「牛白血病ウイルス(bovine leukemia virus;BLV)」をテーマに開催しました。
  話題提供者の理化学研究所分子ウイルス学特別研究ユニットの間陽子ユニットリーダーは、牛白血病ワクチン開発について講演。これまでに、発症感受性アリルを持つ個体にTh1型細胞性免疫を誘導できるワクチンを作製するために、発症感受性MHCに最適化したエピトープを設計し、ナノ粒子に固定化した新規牛白血病ペプチドワクチンを構築。感受性牛のウイルス量を低下させ、病態進行を抑制する事に成功した点を膨大な実験データをもとに詳細に説明。さらに、実用化を目指して、ウイルス様粒子(VLP)技術を導入し、感受性牛に最適化された安全かつ効果的な世界初の牛白血病VLPワクチンの開発に取り組みについて、参加者らに熱く語りかけました。また、前回のプラットフォームに引き続き、中国農業科学院ハルビン獣医研究所の張険峰(Xianfeng Zhang)研究員も話題を提供。参加した様々な研究分野の研究者や学生らとともに、牛白血病ワクチン開発の基礎から応用まで、幅広い段階における課題とその解決法について熱心に議論しました。
  また、本プラットフォームの前には、動物ウイルスについての研究連携の意見交換も行われ、分子ウイルス学特別研究ユニットの研究スタッフである綿貫園子研修生と常浩(Chang Hao)研修生からは研究人材の異なる世代から見える研究開発のあり方について、本プラットフォームのコンソーシアム・プログラム・マネージャー(研究管理総括役)の佐藤法仁研究担当学長特命・URAからはプロジェクト・マネジメントからのワクチン開発について、内蒙古農業大学獣医学院の格日勒図(Geriletu)教授からは他の動物ワクチン開発からの視点について、それぞれの話題提供のもと、一日も早いワクチン実用化を目指した連携強化が行われました。
  なお、今回のプラットフォームは、「京都大学ウイルス・再生医科学研究所セミナー」との連携開催として行われました。

 

農林水産省革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究):http://www.okayama-u.ac.jp/user/ibunyapj/index.html

<参考:革新的ウイルス対策技術分野叡智共有化プラットフォーム(過去3回)>
第17回 農工異分野融合研究開発によるウイルス対策の最前線
第18回 園芸学とウイルス学の異分野融合研究会#2
第19回 日中ウイルス対策叡智共有化

  

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話題提供を行う理化学研究所分子ウイルス学特別研究ユニットの間陽子ユニットリーダー

 
 
 

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今回のプラットフォーム運営メンバーら