岡山大学のURAとは

岡山大学URAは、学長直属として配置され、研究担当理事・副学長と共に行動する執行部の研究ブレーン組織です。
岡山大学URAは、研究面における大学の運営・管理を行う研究系高度マネジメント人材です。研究支援を行うサポート人材ではありません。
岡山大学URAは、研究面で本学(組織)を代表し、産学官それぞれの組織に対して、経営的判断をもとにして「組織対組織」で対応する研究系の経営管理者です。
岡山大学URAは、その職務を如何なく発揮するために、わが国のURA初となる「企画業務型裁量労働制」、上下関係のない「フラットな組織」などで運用されています。

 URAは、University Research Administrator(ユニバーシティ・リサーチ・アドミニストレーター)の略で、大学・研究機関等の組織において、経営的判断のもと、経営陣や研究者らと共に研究活動の企画や研究成果の活用促進などを総合的にマネジメントする「研究系高度マネジメント人材」のことです。
 岡山大学URAは、学長直属として配置され、研究担当理事・副学長と共に行動する執行部の研究ブレーン組織です。「学長特命(研究担当)」として、研究面で学長を補佐し、本学における研究方針の策定や大学改革の推進など経営の判断に立って行動します。
 現在、岡山大学URAは、2013(平成25)年に採択された文部科学省「研究大学強化促進事業」などを重点課題とし、世界で戦える「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」を目指して中核的な役割を果たしています。


Q&A

Q1: URAは、事務や研究支援(サポート)をしてくれるのですか?
A1: いいえ、行いません。URAは、事務やサポート部門ではありません。そのため、科研費申請の支援や秘書的な役割を行う組織・人材ではありません。URAは、研究担当理事・副学長と共に研究面で大学を運営・管理することが仕事となっています。つまり、学長を研究面で補佐し、研究担当理事・副学長と共に本学の研究をマネジメントしています。

 また、本学が「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」という地位を確立するための研究方針の策定を行うことも大切な役割のひとつです。そのため、本学経営陣と共に経営的判断に立って行動する部門とも言えます。研究支援(サポート)は、研究推進本部や産学官連携本部、知的財産本部などを有する、研究推進産学官連携機構や本部事務部門である研究交流部(研究交流企画課、産学連携推進課)などが対応しています。


Q2: URAと研究推進産学官連携機構との違いは何ですか?
A2: URAは、研究体制や注力分野(コア)選定など、本学の研究方針に強く関わる本学経営陣のブレーン組織です。新たに策定された研究体制やコアが整った後は、研究推進産学官連携機構や関係各部署が担当します。つまり、URAは構築・管理役(マネジメント)、研究推進産学官連携機構などは運用役(サポート)となります。

URA執務室と研究推進産学官連携機構.jpg

URAと研究推進産学官連携機構の関係


Q3: なぜ「URA」と「研究推進産学官連携機構」、「マネジメント」と「サポート」を分けているのですか?
A3: 岡山大学は、文部科学省の「リサーチ・アドミニストレーターを育成・確保するシステム整備(リサーチ・アドミニストレーションシステムの整備)」で運用されていないため、自己資金でURAが運用されています(現在は、研究大学強化促進事業の一部も運用)。その運用においては「組織論から見た緻密な制度設計」を行っています。

 まず、URAという職種が設けられる以前に、大学・研究機関等には「研究推進コーディネーター」や「産学官連携コーディネーター」、「知的財産マネージャー」などが既に運用され、機能していました。ここに新たな職種である「URA」が加わり、同じような仕事をすると、どうなるでしょうか? 必然的にこれらの職種との二重運用や職種の違いの不明確さ、学内外的に非常にわかりにくい状況となります。

 岡山大学では、欧米で運用されているURA同様に、研究面で大学を経営管理する「研究系高度マネジメント人材」として運用することで、従来の職種と明確に区別しています。もちろん、全学を挙げて注力すべき時は、URAや研究推進産学官連携機構などという部門を越えて、その対応に当たります。どちらが「主」「従」という短絡的な考えはしていません。


Q4: URAは、どのような仕事をしているのですか?
A4: URAは、研究面の運営管理(マネジメント)が主となります。文部科学省の「研究大学強化促進事業」や本学の基幹となる研究プロジェクトの運営管理、対外的には産学官のそれぞれの組織に対して、本学を代表して「組織対組織」の対応を実施します。簡単に言い表しますと、「研究担当理事・副学長とほぼ同じ仕事をしている」ということになります。

 また、岡山大学のURAの特徴のひとつに、政府や他大学・研究機関等の組織での仕事もしています。政府での要職や事業のプログラム・ディレクター(PD)、プログラム・マネージャー(PM)、研究大学のグループである「大学研究力強化ネットワーク」への運営委員としての参画など、非常に多岐に渡ります。これは、岡山大学の“内から”の研究力強化だけではなく、“外から”の実施により、わが国全体の研究力向上を図り、引いては本学も同時に底上げすることを狙っています。


Q5: なぜ岡山大学のURAは、研究担当理事・副学長とほぼ同じ仕事をしているのですか?
A5: 基幹かつ総合大学である岡山大学は多岐に渡る研究があり、その管理も実に広く深いです。そのすべてを長である学長や担当である研究担当理事・副学長が見ることはとても難しいです。また、頻繁にある対外的な相手組織の長や責任者との「組織対組織」の折衝をすべてこなすことも同様に難しいです。URAは、学長や研究担当理事・副学長と同じ目線で全学の研究面を俯瞰しています。また、対外的に大学と言う組織を代表して折衝に当たっています。これらの職務は、研究担当理事・副学長とほぼ同じ仕事ですが、指揮命令系統を明確にするため、あくまで「ほぼ同じ」(主は学長と研究担当理事・副学長、従はURA)ということになります。

 また、任期満了に伴う執行部の交代や研究担当理事・副学長の(途中)交代などの際に、長期的視点で学内外の研究を俯瞰しているURAがいることで、交代に伴う障害を大きくカバーすることができます。また新任や学外からの招聘した研究担当理事・副学長でも、URAと共に行動することで職務をスムーズに軌道に乗せることができます。これは、研究支援のサポート人材ではなく、研究マネジメント人材としてURAを運用しているからこそできる点でもあります。つまりURAは、「役員間の橋渡し」という組織として重要なマネジメントも行っています。


Q6: URAは、主にどのような研究者、研究グループをマネジメントするのですか?
A6: URAは、トップ研究者(次世代トップ研究者含む)をさらに伸ばすことに着目します。つまり、大学の強みを更に強化促進することになります。他方、研究推進産学官連携機は、全体の底上げという重要な役目を担っています。


Q7: URAは、競争的資金を獲得することが仕事なのですか?
A7: いいえ、違います。他の大学・研究機関等では、そのような仕事をしているURAがいますが、岡山大学のURAは、この競争的資金を獲得することが主な仕事(目的)ではありません。研究面から大学のマネジメントを行うことが岡山大学のURAの仕事です。もちろん、機関申請や大型競争的資金に対しては、URAだけではなく、全学を挙げて事に当たります。

 他方、URAの仕事を対外的に説明する際、「これまでにURAが獲得してきた競争的資金は、××億円」と説明する時があります。これは実にわかりやすい説明ではありますが、正しくはないと考えています。国などが実施する競争的資金は、「大学の序列」によるところが依然と大きいのも事実です。また、これまで競争的資金に力を入れてこなかった場合、そこに注力することで獲得金額が上がるのは当然です。競争的資金には限度があり、いずれ頭打ちになります。その時に、「競争的資金の獲得額が少ないのでURAはいらない」などという、極めて短絡的な思考が働くことも予想されます。繰り返しになりますが、URAの仕事は研究面で大学をマネジメントすることです。その主な仕事(目的)が後回しになってしまっては本末転倒だと考えています。


Q8: URAの組織は、なぜ上下関係のない「フラットな組織」になっているのですか?
A8: URAは、マネジメント人材であり、経営判断を行います。経営判断をする際、その組織に1から10までの序列があり、毎回その序列をもとに伺いや稟議などをしていてはどうなるでしょうか?根回しや書類作り、稟議時間だけが膨大に掛かり、刻一刻と変化するアカデミア・ビジネスチャンスの機会を失うことになります。URAは、学長と研究担当理事・副学長の指揮命令系統のみのシンプルなラインを持つことで、迅速・柔軟に物事に対応しています。URA同士は、上下のある関係ではなく、皆同列に位置し、互いに補完、高め合う関係を大切にしています。 


Q9: URAはどこの組織に所属しているのですか?
A9: 岡山大学のURAは、研究の活性化を戦略的に推進するため、学長直属の組織として位置づけられています。どの学部、研究科、研究所、研究センター、本部事務にも所属していないことから、組織の壁を越えた視点で物事に対応することができます。また、経営陣に大変近い組織から、本学の研究方針に強く関与することができます。 


Q10: 「第3の職種」とは何ですか?
A10: 大学という組織の場合、従来は教員(教授、准教授、講師、助教など)と事務職員の2種類が主な職種でした。「第3の職種」とは、教員と事務職員の両方にも属さない、新しい職種のことであり、本学に限らず他の大学・研究機関等では、URAを「第3の職種」として配置しています。ただ、他の一部の大学・研究機関等では、教員や事務職員がURAを兼務したり、教員や事務職員の一部としてURAが運用されている場合があり、本当の意味での「第3の職種」とは言えません。

 岡山大学のURAは、その設置(2012(平成24)年)時点において、採用・評価・給与・規則などあらゆる面において、URA専用のものを定め、本当の意味での「第3の職種」として運用を開始しています。このような他の大学・研究機関等では出来ないことが岡山大学で出来たことは、執行部と教員、事務職員らの理解と多大な協力があったからこそだと言えます。


Q11: なぜ岡山大学のURAは「教員」ではないのですか?
A11: 前述したように岡山大学のURAは、事務やサポート部門ではなく、研究担当理事・副学長と共に研究面で大学を運営・管理することが仕事です。他方、教員には教授や准教授などと言った「職階」があります。例えば、URAの一人が助教という教員の職階を持ち、大学のマネジメントを行うとします。研究科長や学部長である教授(職階が上位の人)に対して、「(マネジメントの観点から)××をして下さい」と、お願いできるでしょうか?おそらく難しいと思います。また、そもそも理事と同じように大学をマネジメントする人に、教育研究を行う教員の職階が必要であるとも思えません。大学を運営する人と教育者・研究者は、まったくの異なる仕事です。そのため、岡山大学ではURAに対して教員の肩書きを敢えて与えていません。


Q12: 「企画業務型裁量労働制」とは何ですか?
A12: まず、大学教員のように業務の性質上、時間配分などに関して大幅にその人に裁量が委ねられている働き方の制度を「専門業務型裁量労働制」と呼びます。これには、デザイン関係の職、マスメディアでのプロデューサーやディレクター職、公認会計士、弁護士、税理士、建築士、弁理士などの方々が当てはまることが多いです。

 「企画業務型裁量労働制」とは、事業の運営に直接影響するような企画・立案・調査・分析などを行う人に適応されるものです。実際に勤務した時間を細かく集計することはしません。岡山大学のURAは、前述したように教員ではないため、「専門業務型裁量労働制」を採用することが出来ません。しかし、時間を区切った事務的な仕事ではないため、一般の労働制での管理も難しいと言えます。そこで、マネジメントに即した「企画業務型裁量労働制」を採用し、運用しています。これにより、柔軟な勤務が行えるようになっています。もちろん、過重労働等の危険性もあるため、専門の委員会で労働状態を適切に管理しています。

 このような取り組みは、岡山大学が全国の大学・研究機関等に先駆けて実施している点でもあり、わが国のURA制度の先導的モデルとなっています。


Q13: 岡山大学のURAは、大幅に増員しないのですか?
A13: 他の大学・研究機関等では、30人、40人と大人数のURAを抱えているところもあるようです。また、大学本部だけではなく、学部などの部局にも配置(部局URA)しているため、大所帯となっているようです。

 2017(平成29)年現在、岡山大学のURAは7名ですが、数十人という規模で大幅に増員することは考えていません。これには理由があります。そもそもマネジメント人材が大量にいる必要があるのかと言う点です。民間企業などで取締役が30人も40人もいる企業は、かなりの大企業です。岡山大学の組織規模から、そのような大量のマネジメント人は不要だと思います。また、岡山大学の現在と将来の財務規模から考えても、不適切とも思えます。一部では、「URAをドンドン増やすべき」という意見もありますが、それぞれの組織には抱えられるだけの組織と人員、それに合った財務規模があります。それを無視してドンドン増やすことは経営管理の点からあり得ないことだと考えています。

 逆に岡山大学では、研究支援を行うサポート人材である、研究推進コーディネーターや産学官連携コーディネーター、知的財産マネージャー、技術職員などを増員していくことがより重要だと考えています。もしかすると、「URAをドンドン増やすべき」という意見は、マネジメントとサポートの区別をされていない、あるいは混同しているのかもしれません。


Q14: 岡山大学は、「部局URA」を置かないのですか?
A14: 部局URAは、置けません。岡山大学のURAは、研究面から大学の経営管理という仕事を行うため、本部に身を置き、学長の指揮のもと、研究担当理事・副学長と共に職務に当たっています。研究面で大学全体をマネジメントする人が、本部にも部局にもいると、二重マネジメントになり、指揮命令のラインも不明確になってしまいます。これでは、大学という組織全体のガバナンスが緩むことにもつながるかもしれません。そのため、岡山大学では部局URAは設置しませんそれよりも、部局という専門性の高い組織には、その分野の専門性の高い研究推進コーディネーターや産学官連携コーディネーターなどの研究支援(サポート)人材を、研究力強化促進の点から、きめ細かく配置するのが適しているのではないかと思います。


Q15: 岡山大学のURAは、他の大学研究機関等のURAとは何が違うのですか?
A15: 
わが国のURAの運用は、前述した文部科学省が2012(平成24)年に始めた「リサーチ・アドミニストレーターを育成・確保するシステムの整備」によるところが大きいです。この文部科学省の運用に参加している大学では、主に研究支援や研究事務などのサポートを行うURAを多く配置していることがあります。これらの職務内容は、すでに運用されている研究支援の事務などのサポート部門と重なる点が多いです。

 他方、岡山大学では文部科学省の「リサーチ・アドミニストレーターを育成・確保するシステムの整備」の運用には参加しておらず、URAの運用はすべて自己資金によりなされています(現在は、研究大学強化促進事業の一部でも運用)。また、研究事務支援は既に運用されている関係部署をそのまま活用しているため、URAは「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」の実現のため、前述した役割とミッションを基に活動します。そのため、本学のURAを紹介する際は、「岡山大学におけるURA」と呼称して、他の大学・研究機関等とは違いがあることを明確にしています。

 


岡山大学URAのキャリアパス

 岡山大学URAのキャリアパスは、既に構築されています。学長と研究担当理事・副学長の評価が年度毎実施され、それをもとに昇任・昇給などが行われます。この評価制度は、URAの職に合わせた、岡山大学独自のものを設定しています。

 採用後の初任については、これまでの経験や年齢などで計り、決定されます。現在のところ、この基準以外に計る適当なものがなく、どの機関においても同様の方法で初任が決定されていると思われます。しかし、採用後の評価を重視することで、その評価が高ければ在任期間の長短、年齢の如何に関係なく、適時、昇任・昇給します。

 これまでにURAから3名が副理事に昇任しており、その他にも昇任・昇給しています。その特徴として、他の機関に見られる、シニア層の人材をURAとして雇用後、適性を見て副理事や副学長にするという、「シニア層のキャリアパス」ではなく、若い人材を一般のURAから育成し、キャリアを重ねつつ、副理事まで育成しているという点が他の機関に先駆けて確立した岡山大学URAのキャリアパスと言えます。実際に、一般URAの職階からキャリアを重ね、副理事に就任、それも研究分野だけではなく、大学全体の経営により深く踏み込む評価・総務担当の副理事に就任している者もいます。

 将来的には、国内外の大学・研究機関の長やプロボスト(学長に次ぐNo.2のポジション)などの要職に就くことが期待されています。

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 岡山大学URAのキャリアパスイメージ