日中の叡智でウイルス感染から家畜を守る 第10回革新的ウイルス対策技術分野叡智共有化プラットフォームを開催

日時 2016年3月9日 
 本学は、中華人民共和国内モンゴル自治区フフホト(呼和浩特)市にある内蒙古大学において、ウイルス感染から家畜を守る研究についてのワークショップ「第10回革新的ウイルス対策技術分野叡智共有化プラットフォーム 革新的技術でウイルス感染から家畜を守る-日中叡智共有化ワークショップ3-」を3月8~9日に開催しました。

 家畜現場では、さまざまなウイルスによる被害により経済的・社会的損失が世界的に問題となっています。そのため、家畜をウイルス感染から守る早期診断や感染防止の研究開発が強く求められています。今回、海外において大規模な牧畜や畜産産業を有する中国内モンゴル自治区において、同地の研究機関などとともに、日中双方の当該分野の研究者らが叡智を共有化することで、隣国同士の研究連携や技術開発、社会実装の強化促進を図りました。

 日本側からは先日の内蒙古農業大学の第9回ワークショップに引き続き、本学と理化学研究所が参加しました。ワークショップでは、本学卒業生でもある内蒙古大学生命科学学院の韓紅燕講師がモデレーターを務め、農林水産省「革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究)」で、コンソーシアム・プログラム・マネージャー(研究管理総括役)を務める佐藤法仁学長特命(研究担当)・URAが挨拶とともに事業説明を行いました。続いて理化学研究所分子ウイルス特別ユニットの間陽子ユニットリーダーや竹嶋伸之輔研究員、大附寛幸特別研究員、ハク・ランラン(BAI Lalan)リサーチ・アソシエイトらは、牛白血病ウイルス(BLV)の概要とその制圧を目指すべく、本学と共同研究を進めたBLVウイルス検査キットやワクチン開発の概要などについて詳細に講演を行ないました。また、同大学の賀喜白乙(Bayar Hexig)教授がモデレートし、同大学の研究施設の視察や研究員との意見交換などを精力的に実施。また賀喜白乙教授は東京工業大学に在籍していた経験から日中の国際共同研究の進め方などについて実質的な意見交換を実施しました。

 なお、本ワークショップは本学が研究拠点(代表研究者:本学大学院自然科学研究科(工学系)の世良貴史教授)を務める農林水産省「革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究)」において得られた最新研究の叡智を社会に広めるために実施する「革新的ウイルス対策技術分野叡智共有化プラットフォーム」の取り組みとして実施されました。今後も農林畜産水産分野や社会を革新する研究開発を精力的に押し進め、社会実装を目指します。

  農林水産省革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究):http://www.okayama-u.ac.jp/user/ibunyapj/index.html

 <参考:革新的ウイルス対策技術分野叡智共有化プラットフォーム>

第1回 網羅的RNAウイルス検出技術DECS法(2015年5月28~29日)

第2回 革新的技術でウイルス感染から家畜を守る-日中叡智共有化ワークショップ-(2015年7月20~22日)

第3回 低分子化リグニンがつくる新たなウイルス対策(2015年9月1~2日)

第4回 革新的技術で牛白血病ウイルス(BLV)感染から牛を守る(2015年10月11日)

第5回 革新的技術“人工核酸結合タンパク質”の国際展開の強化・促進(2015年10月25~28日)

第6回 低分子化リグニンによるウイルス対策技術の社会実装に向けた研究開発(2015年10月30~31日)

第7回 ウシ白血病ウイルス(BLV)から牛を守る革新的技術の社会実装に向けて(2015年11月26日)

第8回世界規模での人工核酸結合タンパク質を用いたウイルス不活性化技術を目指す(2015年12月15~20日)

第9回 革新的技術でウイルス感染から家畜を守る-日中叡智共有化ワークショップ2-(2016年3月5~8日)

国際共同研究などの連携研究について意見交換を行う参加者ら

 

内蒙古大学の実験施設を説明する賀喜白乙教授(奥)

研究視察を行った内蒙古大学のNational Center for Animal Transgenic Biotechnology

 

今回のワークショップを行った内蒙古大学南キャンパス